ドイツ合宿特別インタビューその2|ドイツ企業の3つの強みとは?

もう1つ特徴的と思えたのは、ドイツの職業に対する考え方と資格制度です。


JMI生産・開発マネジメントコースの海外合宿にてファシリテータを務められた
JMAコンサルティングの松田将寿さん(経営コンサルティングカンパニー 経営構造転換センター
センター長 シニア・コンサルタント)から
ドイツ視察について感じたことをお話しいただきました。

日本能率協会の中川雅志がインタビューいたします。(以下敬称略、役職当時)

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ドイツ企業の3つの強みとは?

中川
ご興味のあったドイツ視察に1週間同行していただきましたが、そちらの感想をまずお願いします。

松田
一言でいうと百聞は一見にしかずということでしょうか。

日本でもインダストリー4.0はたびたび紹介されており、私自身も8~10年前からドイツの企業に注目していました。EUの中ではドイツの独り勝ち状態が続いていたからです。
ものづくりの点でも、ドイツ製品は高品質というイメージがありましたからね。

それともう1つ私が注目していた理由は、ドイツの有名企業の多くが国内生産にこだわってきた点です。

例えば、メルセデスベンツの車に乗ってみると、窓ガラスにもドイツ製と書いてあります。
「安いところで作ればいい」と考えるのではなく、部品レベルに至るまで国内産業を守り、
ドイツで生産することによる付加価値を考えていると見ていました。

そのような特徴的な点を考慮すると、ドイツ企業の強さはマイスター制度や技術、ブランディングが
強く、その結果ではないかというイメージでした。

そこで、広い意味での生産システムそのものを変えていこうという取組みは従来とは異なるのでは
ないかと疑問を持ち、視察へ参加させて頂きました。

今回の視察ですべてが分かったわけではありませんが、いくつかは見えてきたような感じがします。

中川
具体的にはどのようなところでしょうか。

松田
1番大きいのは、産官学の製造業に対する取り組みの真摯さですね。

これも中央だけでなく、地方でも行政と企業と大学が連携して進めています。
地方にも、産官学で産業を振興し、活性化させ、ものづくりを推進していこうという意思を感じました。

もう1つ特徴的と思えたのは、ドイツの職業に対する考え方と資格制度です。
これは製造業を育成するうえで、非常に有利に働いていました。

具体的には、職業にはそれぞれ国家資格があり、そのための実地研修を3年半の間、大学などに
在籍しながら実施することができるとか、それら国家資格の取得が義務づけられてる等の枠組みで
職業訓練がうまくされていると思いました。

学生の場合、これだと、卒業すると同時に就職しても即戦力となります。
企業側は即戦力採用ができるだけでなく、受け入れ訓練している間は安価な労働力を確保する
ことにもなります。

労働力で見ると、少子高齢化で人口ピラミッドがいびつになった日本とは異なり、現在のシリア難民
受け入れのように、広く門戸を開いて労働力を潤沢に吸収し、労働人口をしっかりおさえることも
できるでしょう。

労働人口的には、ピラミッドもドイツではきちっとした形が維持されていくのではないでしょうか。

最後がブランドです。
メルセデスベンツの工場を視察したとき、親子3世代で働いている方がいましたよね。
そして、メルセデスベンツで働くことに誇りを持っていました。

ブランドの力が雇用を守り、収益を生み、働く意欲を維持し、地域の再雇用も確保することに効果を
上げているように見えました。

それに関連して気づいたことがあります。
ドイツのものづくりの基本的な考え方は、人ありきではないかということです。

改善や改革も、人を外して省人化、省力化に向かうのではなく、働く人のためにどう
貢献できるのか、人の仕事をどうやって付加価値の高いところに移せるのかなど、人の労働の
質を高める方向で考えています。

人間を尊重しているといって良いでしょう。

その結果、工場に対する愛着も生まれています。
ひいてはブランド力を向上させることにも効いているのではないでしょうか。
これらの点が強く印象に残りました。

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